生命機能のデータサイエンス

■ 基質変形データを用いた細胞の牽引力推定

細胞は形状変化を起こすために、基質との力学的相互作用を引き起こします。細胞運動を理解するために、この力学的相互作用を定量する必要があります。細胞による牽引力を推定するために基質の変形データを用います。しかし、基質の変形データとして、基質に埋め込まれたビーズの変位を用いるため、詳細な変形データを計測することはできません。私たちは、限られたデータに生物学的知見を加味すること(ベイズ統計的手法)により細胞の牽引力を推定しています。

■ 呼気成分データを用いたヒトの病状診断

血中アルコール濃度を推定するために呼気が使われます。血中のアルコールが肺胞において抽出され、呼気に混ざって体外に排出されるためです。同様に、病気に関連する血中成分が呼気に混ざって排出される場合があります。私たちは、患者と健常者の呼気成分に対して機械学習法を適用し、呼気と計算機による診断の有効性を検証しています。

■ 膜電位の時系列データを用いた細胞内分子経路同定

観測とは対象を直接計測できるものに限りません。計測したい量の情報が別の量に反映されており、なおかつその量が比較的計測しやすい場合は、「計測しやすい量」を「本来計測すべき量」に変換するのが一般的です(例:光の輝度⇒細胞内分子濃度)。計測困難なものとして、細胞内の分子シグナル経路があります。私たちは、統計的機械学習を用いて、膜電位という全く別の物理量から細胞内シグナル経路を同定する技術の開発を進めています。